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昭和58年11月23日 22時54分 興宮空軍基地
深夜の闇の中、沿岸警備隊の目をかいくぐって数十名の黒い戦闘服を着た男たちが興宮の砂浜に上陸していた。
彼らは移動に使用した小型潜水艦を放置し、防水バックから装備を取り出していく。
彼らは迅速に火器を組み立てる。
サイレンサー(消音器)を銃口に取り付けてあった。
「これより任務を開始する」
中国語で男が言った。
「了解」
それに何名もの男たちが続いた。
目指すは興宮空軍基地。全員拳銃の薬室に弾を送り込んだ。
彼らは中国軍の特殊部隊だった。
全体的に認知しずらい黒い迷彩。そして全員が暗視ゴーグルを装備していた。
彼らは事前にスパイよりもたらされた情報を元に進み、基地に近づいて行った。
興宮空軍基地には見回りの警備兵がいた。彼らは九ミリ機関拳銃で武装し、暗視ゴーグルを装着していた。
中国の特殊部隊員は音もなく警備兵に近づき後ろからナイフで首を切り裂いた。
頭を押さえて音をたてないようにゆっくりと横たえるとすぐさま死体を隠す。
別の警備兵も後ろから口を押さえられ反対の手で持ったナイフで胸を貫かれた。
死んだ警備兵も他の誰一人として侵入者に気づいていなかった。
彼らは定時連絡によって侵入がばれる前に任務を遂行しようとした。
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