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ミーン、ミーン…
蝉の声が五月蠅い。
この教室、否、学校には
クーラーなどの
贅沢なものはない。
なのでここの生徒は自分達で
下敷きや団扇などで扇ぐ。
一応天井に扇風機が付いては
いるが何の意味がない。
只でさえ暑いのに、
蝉の声で暑さが余計に倍増する。
教室には僕と広斗と和也、
一番扇風機の風が
当たりやすい場所に
僕と広斗が机を一つはさんで隣、
その僕達の前にドアを
背にしこちらを向いて
和也が座っている。
「あー…うぜぇ…、一個づつ潰してやろーか?あぁ゛ん?」
広斗は外を見て蝉がいるで
あろう場所にガンを飛ばす。
「ああ、つぶしてこいよ。もちろん素手でな」
和也は小ぶりの扇風機に
あたりながらチラッと
横目で広斗を見る。
「うぇ、キモい…お前が素手で潰せよ」
その和也の言葉に広斗は
苦虫を噛んだような顔をした。
そして和也はその広斗の
台詞に心底嫌そうな顔をする
「嫌だ、お前バカか死ね。あ、わりぃバカだったんだよなお前。あ、優太が潰してきてよ。」
和也は言うだけ言って
満面の笑みで僕を見る。
……だがしかし目が
笑っていない。
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