美女鬼麗

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俺ははその日 シズちゃんをからかい 満足した気持ちで家に帰っていた すると突然 目の前にフラりと現れた人影 目にも止まらぬ早さで 俺の腹部に痛みを与えた 「っ…!?」 その反動に後退る ――誰だ…っ 声を発するよりも先に 手首を捕まれ 首筋に激痛が走る 「っあ!!」 ――何をっ!? 抵抗する自由を奪われ ドクドクと脈を打つ 耳元で聞こえる 血を啜る音 「…っ、何してるの」 蹴り上げると 当たる前にすっと遠退かれる 雲が消え月が現れる 被っていたフードが脱げて 怪しげに牙が煌めいた そいつは口についた血を舐めとり 俺を見つめた 「…ご馳走様」 ――女? 「君…月太刀朱里…だよね」 「…えぇ」 「吸血鬼なんだ?」 「はい」 妖艶に微笑む 俺の知らない彼女が そこにいた 「これ、俺は吸血鬼になったりしないのかな?」 「しない」 「……」
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