それでは始めましょう

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「まぁ美央さんならやりかねないな。ご愁傷様…。」 俺は心を込めて可哀そうな親友に合掌した。 「コタぁぁぁ!見捨てないで!俺のこと可愛くないの?」 「可愛いけど、これは無理じゃね?」 お前の中身も容姿も可愛いのは認める。けど入学試験が終わった今、俺にできることなんて何もなくね? そう言うと嶺はうぅっ…と泣きだした。 そんな嶺を慰めていると、またも訪問者。今日はやけに人が来るな。なんて思って部屋の入口を見た。そこには… 「親父?どうしたんだよ?」 「ちょっと虎太郎に話があってな。」 そう言って部屋に入ってくる親父に嫌な予感がする…。ちなみに虎太郎(こたろう)ってのは俺の名前ね。 なんたって親父の話がいいもんだったことなんて一度もないからな。 部屋に入り、いまだグズグズの嶺を見止めると一瞬、親父がニヤっと笑った。 えぇぇぇ。何それ。嫌な予感が膨らんでいくんですけど。 「嶺くんも一緒か。丁度いい。嶺くんも一緒に聞いてくれるか?」 「…オレも?」 突然話を振られて戸惑った嶺が、それでも俺の隣に来て親父の話を聞く体制をとる。 親父は満足そうに頷いて、俺と嶺の顔を交互に見ながら話しだした。 .
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