幸せ

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自分を好きだと言う女子がいた。 クラスの女子だった。 普段結構会話し、仲が良い女子の中の一人だった。 活発な感じで皆が可愛いと言う女の子だった。 突然呼び出された時、その子に普段の覇気はなかった。 いつもの威勢はどこへ行ったのか、力強く前を見据える目は、今は床を見つめ、歯切れの良かった声もどこか弱々しく、それでもはっきり聞こえるように好きだと告げられた。 恋というモノがわからなかった。 そもそも自分のどこに惹かれたのかわからなかった。 魅力……があったのだろうか。 ラケットとボールと自身の体さえあれば良いというこの自分に。 わからない。 よく、わからなかった。 考えるのが面倒で、 傷付けるのを承知で断った。 どうせ好きにならないのなら、この選択が一番傷付けないですむことに気付いたのは、散々傷付けてしまった後だった。 それでもこの時は、自分の言葉を聞くなり、みるみる眉を寄せ、目に涙を滲ませるこの子の顔を見て、何だか凄い酷い事をしてしまったのではないかと罪悪感に襲われた。
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