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猫はその目こそ閉じているものの、白くてふわふわな喉元を秋本の指先が撫でると首の角度を変えてそれに応える。
「七夕の空はわたしたちに星をくれた。」
台詞みたいな秋本の言葉に少し顔を上げると、目が合った。
「っていう詩をね、書いたことを未だに覚えてるんだけど。
雨は夜までに止んだんだけど、とても星が見えるような空じゃなくて。
それでも9時に待ち合わせて。
公園の湿ったベンチでしばらく話をしているうちに、雲が少しずつ晴れていった。
ひとつめの星をみつけてちょっと感動して、彼のほうを向いた瞬間引き寄せられ、キス!」
秋本は“キャー!”と小さく叫んでララをわしゃわしゃと強く撫でた。
それから僕の目を横目で見ながら、猫みたいな笑顔で言った。
「奇跡でしょ?
ファーストキスに相応しい、とても綺麗でかわいい記憶。」
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