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もう何がなんだかわからない。
というか、理由なんて要るのか?
いや、要らない。
要らないはずだ。
気付いたら彼女を抱き寄せ、キスをしていた。
僕と彼女の間に挟まった猫が苦しそうに鳴く。
あまりに急な出来事だったせいか、俊敏な動物でさえ対応できなかったようだ。
普段ならララの一挙一動に反応を示す秋本だが、今はこの妙な声で鳴く猫には構わない。
止まったみたいな時間。
それを僕が動かすことはできない。
この先に進む鍵を持っているのは彼女だけだ。
ふわふわパーマの髪の毛で、二重の大きな目で、細いのにやわらかい体を持った、僕の腕の中で固くなっている女の子、ひとりだけだ。
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