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「俺さぁ……お前に出会えて……嬉しかったんだ……初めての友達が……煉だったんだ……俺は……小心者で……馬鹿で……図々しくて……それでもお前はさ……親友って言ってくれて……本当に……ごめん……許してもらおうとは……思わないから……せめて」
泰陽がそう言いかけた時だ。
煉は泰陽の右手を両手で力強く握った。
「泰陽、許すもなにも僕はこれっぽっちも怒ってないよ」
「…………?」
「僕も初めての親友が泰陽なんだ。話しかけるのが苦手で、受け身だった僕に泰陽が入学式の時に声をかけてくれたよね? あの時の笑顔は、撃たれたぐらいじゃ消えやしない。絶対に。そして、これから何があっても僕は泰陽を信じる。それが親友ってもんでしょ?」
煉は泰陽に微笑みかけながらそう言った。
お互いが初めての友達を欲していた。
お互いが入学式の日に変わろうと思っていた。
だからこそ出会うことができた。
お互いに最高の親友を。
泰陽の両目から溢れんばかりに涙が流れる。
勿論嬉し涙だ。
その表情を見せるのが恥ずかしかったのか、泰陽は左手で自分の顔を覆う。
そして、泰陽も笑顔になった。
「へへ……んだよ……ちくしょう……
……嬉しすぎて言葉になんねぇよ」
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