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「ふわあぁぁ……」
少女は欠伸をしながら体を伸ばし、ベッドから降りる。
「いつの間にか寝ちゃった」
少女は寝相でボサボサになった長い髪を棚に置いてあった白いクシで整える。
唯一色があるのは、自分の肌や黒い髪等、つまり自分だけだ。
少女はドアに近付き、何度かジャンプして高い位置にある鉄格子がはめられた覗き窓から外の様子を見る。
しかし、外の景色も真っ白だった。
少女はすることも無い為、体育座りをしてドアに寄り掛かる。
すると……
「起きましたか?」
「!?」
ドアの向こうから女性の声が聞こえてきた。
少女は立ち上がり、覗き窓を見上げる。
「あなたは誰?」
「私はあなたの担当の者でございます」
「お名前は?……あ、ううん、先に名乗るのが礼儀だって院長も言ってたな……私はルイ・アストイ、あなたのお名前は?」
ルイがそう言っても返事は返ってこなかった。
無視されてしまったことが悲しかったのか、ルイは涙声でもう一度聞いた。
「あなたのお名前を教えて欲しいの」
「…………アミルダ……アミルダ・フランシスカです」
「アミルダさんね! お名前を教えてくれてありがとう」
ルイは嬉しそうにそう言った。
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