◇私のプロローグ◇

6/63
前へ
/976ページ
次へ
しばらく経つと、床に下ろされたルイ。 しかし、目隠しは付けたままだ。 「これ外したい……」 ルイは欝陶しそうに目隠しの布に手をかけると、その手が何かの衝撃で弾かれた。 老人がビンタしたのだ。 「それを外してしまうと注射が見えてしまうけどいいのかい?」 「え?……注射?……嫌だ……嫌だ嫌だ!」 ルイは暴れ出すが、すぐに白衣を着た研究員達に取り押さえられる。 そして研究員達は老人に差し出すようにルイの右腕を固定した。 「注射嫌だー!」 「すぐに終わるからね」 老人の優しい声に反して、乱暴に注射をされたルイ。 右腕に針が刺すような痛みが伝わってくる。 「痛いー!」 必死に抵抗するが、研究員達も大人。 力が敵う筈がない。 そして、しばらくすると注射は終わりガーゼで刺した場所を押さえテープで固定する。 「ひっぐ……うぐ……」 ルイもまだ子供。 注射が痛かったのか、それとも怖かったのか泣いていた。 しかし、すぐに眠気が襲ってきてルイは瞼を閉じた。
/976ページ

最初のコメントを投稿しよう!

3557人が本棚に入れています
本棚に追加