◇私のプロローグ◇

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老人は研究員達にルイを部屋に戻すよう伝えると、自分は先程の各部屋が写し出されたモニターがある部屋に向かう。 そして、部屋に着くとモニターを凝視し始めた。 「先程、子供達全員にアレを投与した。結果はどうだね?」 モニターから視線を外さずに、老人は近くの研究員にそう聞いた。 「拒絶反応が出たのが10人。性格や言動が丸々変わったのが6人。反応が全くないのは4人です」 「ふむふむ……」 老人は伸びたあごひげをいじりながら、うんうんと頷いた。 「では、その4人以外は用済みだ。意味は分かるね?」 「……失礼ですが、本当に成功するのでしょうか。一番技術があった斎藤博士や姫岸博士がいないというのに……」 「彼らの研究データを参考にしてるんだ。成功するさ……いや、成功という言葉は不適切だな。越えられるさ、彼らを」 老人の笑みは一緒に働いている研究員達ですら凍り付く程の不気味な笑みだった。
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