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しばらくすると、ドアに近付いてくる足音が聞こえてきた。
「アミルダ……そこにいる?」
控えめにそう聞いてきたルイ。
無視する必要もない為、アミルダは答えてあげた。
「えぇ、いますよ」
アミルダがそう言うと、ドアに寄り掛かるような音が聞こえてきた。
ルイが体育座りをして、ドアに寄り掛かっているのだ。
「ねぇ、アミルダ……どうして私はここへ連れて来られたの?」
「……それは私には分かりません」
本当は分かっているのだが、実験体に機密事項は喋ってはいけないと上から口止めされていた。
「私、お家に帰りたい。ここ、ベットはふかふかじゃないし、真っ白だし、玩具も無いからつまらない。アミルダはつまらなくないの?」
「いえ、つまらなくないですよ」
「じゃあ、アミルダは何をしているの?」
そう聞かれたアミルダは、ふと右手に持つ小説に視線が向いた。
「小説を読んでますよ」
「……小説? 私も本が読みたいな」
実験体に情を持つな。
アミルダが一番強く言われている命令。
だからこそ、自分の発言が信じられなかった。
「難しいのでもよければ、貸してあげましょうか?」
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