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「えっと……」
ルイは煉をちら見しそわそわしながら言葉を選ぶ。
煉が兄妹だったということを伝えたいのだが、恥ずかしいのとどう言えば信じてくれるのかを考えているのだ。
「えっと……えっと……」
「言いたくないんじゃないかな? それなら無理して言わなくてもいいから」
煉は微笑みながらそう言ってくれた。
しかし、言わなきゃ伝わらない。
「えっと……私は……斎藤で……妹で……お兄ちゃんなの……」
ルイは煉を指差しながらそう言った。
しかし、この場にいるルイ以外の者が首を傾げる。
今のでは断片的過ぎて全く伝わらない。
更に焦るルイ。
「えっと……えっと……あ!……あのノート!」
ルイは咄嗟に思いつき笑顔になるが、すぐに気がつく。
あの大学ノートは入院中の泰陽が持っていることに。
「うぅ……グス……」
「え!?」
「ご、ごめんね、私が変なこと聞いちゃって!」
いきなりルイが泣き出した為、煉は驚き、姫はすぐに謝る。
どう伝えていいか分からないルイは、悲しさで涙を流してしまった。
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