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ルイは煉の胸に顔を埋め……涙を流していた。
「ずっと……ずっとずっとずっと! この瞬間を待ち望んでいたの!! いつも独りぼっちで……周りは敵ばかりで……それでも諦めずに……お兄ちゃんが私のたった一人の家族なの!!」
言いたいことを言えたルイは顔を涙でぐちゃぐちゃにしあわあわと口を開け……
「うわあああぁぁぁん!!」
心の叫びをあげる。
ようやく味わうことができた家族の温もり。
煉に抱きついているルイは、どんな高級な毛布よりも、どんなに大好きなぬいぐるみよりも、言葉で表すことのできない温かさを感じた。
それは、未だに信じられないと思っている煉も同様だ。
自分は天涯孤独の身だと吹っ切れていた煉。
家族がいなくても親友がいると強がっていた。
それを表すかのように、ルイの頭に右手を乗せた煉の目からは、一筋の涙が軌跡を描いている。
「ふむ……」
セインは里奈とヒメの手を握り椅子から立たせる。
そして、そのまま二人を連れ外へと向かった。
セインなりの気遣いだろう。
それを察した里奈とヒメ、武器猫達も何も言わなかった。
「よかったね、煉」
そう呟き里奈は教会を出る。
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