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第1楽章
「お~い!フィル手伝ってくれい!」
まだ眠たい目をこすりながらフィルは下級区の区長ダンの顔を見てあからさまに嫌そうな顔し
「ヤダ」
と言って毛布にくるまった
「海水がドームのひび割れから漏れだしてきてるんじゃ!」
ため息をつきながらフィルは言う
「またかよ、じいさん修理届だしたのか?」
「出したが貴族のお偉いさん方は相手にしちゃくれなかった」
ダンはしゅんとした
「……」
頭をかきフィルは、また長いため息をついた
「しゃ―ね―な、オレが何とかしてみるわ」
「とかなんとか言って中流区や上流区を荒らすんじゃないじゃろうな!?」
「さてな」
フィルはすぐ側においてあった剣をとり、窓を開けてそこからジャンプして着地した
「こら!フィル!!」
「じゃあな、重労働は任せるわ」
気だるげに手を振って下級区と中流区の境目にある下級区より優れた防壁のさらに向こうにある上流区より先にある城に彼は向かった
「…シオンいっかな?」
シオンとは中流階級の貴族の跡継ぎなのだが、その階級は低くこちらの下級区と変わらない扱いをされている
彼は騎士を目指していて、今では一隊長に就任された
そして余談だが、フィルは二十歳である
「ま、アイツならなんとかしてくれるだろ」
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