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「さっきの歌、お前が…?」
話が通じてないのか急に少女は嬉しそうにニコリ、と笑って鉄の格子の間にフィルの手のひらを差し出すようにジェスチャーして、その手のひらに人差し指で文字を書いた
[あなたは誰?]
―コイツ、耳と声が…?
フィルも少女の手のひらに書きながら喋った
「オレの名前はフィル」
少女はびっくりしたような顔をしていそいそと書いた
[フィル……ってもしかしてシオンのお友達の人?]
今度はこちらが驚いた
「シオンを知っているのか!?」
彼女はフィルの指を見つめた後、コクリと頷いた
そしてすぐに手のひらに書いた
[シオンは私の大切なお友達]
「そうか…ところで今さっき唄ってたか?」
[確かに唄っていたけど……聞こえたの?]
「まぁな」
フィルがそう答えると少女は本当に嬉しそうに笑ってフィルの手のひらに書いた
[私の歌が聴こえた人、二人も出来た!嬉しいありがとう!]
フィルの手を両手で握ってブンブンと上下に振った
「二人?」
そう書いて彼女に尋ねると少女は手のひらに書いてくれた
[最初に聴こえたのはシオンだったの…!そういえばまだ私の自己紹介がまだだったね、私の名前は古代神話の加護の女神セディアからとってセディアで…]
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