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小鳥がセディアの肩にのって彼女は小鳥の方を見てすぐにフィルの手のひらに書いた
[この子はヴィア、よろしくねフィル]
セディアはニコッと笑った
「ところで…その…耳と声どうしたんだ?」
その質問に少し悲しそうな顔をして彼女はフィルの手のひらに書いた
[耳はちゃんと聴こえるよ、ただ何を言っているのか解らないの。ずっとこの部屋から出ることもなく過ごしていたから…声は昔から出ないの]
セディアは作り笑いを見せ、また書く
[でも、声は出ないけど唄っているとフィルとシオンみたいに聴いてくれる人がいるだけで私はとても嬉しいの]
フィルは思った
― 一度だって外に出たことがないんだから出てみたいだろうな、それにこんな鉄格子にあの手枷…
「オレと外に出ないか?」
フィルは思わずセディアの手のひらに書きながら言っていた
一方のセディアは思いがけないようなことを書かれ驚いていた
[私は…]
「決めるのはセディアだ」
[外に出て自由になってもいいの?]
「決まりだな、セディアそこから離れてろよ…」
フィルは剣の鞘を抜いて呼吸を整え、セディアが離れたのを目の端で確認してから剣を力の限り鉄格子に向けて叩き込んだ
「よし…!セディア行くぞ」
鉄格子は壊された
差し出された手をセディアはためらいがちにとり、その手の温かさと頼もしさを感じた
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