第1章「新学期」

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「おはよう、鳳!」 顔に満面の笑みを浮かべて、叩いた張本人がそこにいた。 「…おはよう、龍川」 と中学時代の友人に返した。 龍川碧也(たつかわへきや)。中学1年の頃からの友人だ。細見な体に似合わず声が大きく、それ以上に 「何だ、朝からテンション低いな。せっかくの入学式なんだから、もっと盛り上がりろうぜ!」 いつもやたらと元気な奴だ。 「朝からハイテンションだな。そんなんで一日疲れないか?」 「これくらいで俺が疲れるわけないだろ~」 等々他愛のない話をしながら校舎まで進んだ。 そこでは掲示されているクラス分けから、自分の名前を探している新入生が大勢いるのだが… 「何でもっと大きなものを用意しないんだろうな…」 「何ヵ所かに分けて掲示するとかすりゃいいのにな」 文句を言いながら、龍川と自分の名前を探すため、人の波へと飛び込んだ。
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