第壱話 転校生

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今日も生徒会の激務は朝の登校検閲から始まる。 「おい、そこのお前」 生徒会長がひとりの生徒を呼び止める。 「お前、新兵器エボンゲリオンのDVDを所持しているな?」 「な、なぜそれを…」 「理由など聞いてどうする。生徒会条例により理由の如何に関わらずDVDは没収、世の中のためになるよう役立てよう」 会長が観たいだけじゃないか、心の中で生徒は叫ぶが何とかしてDVDを死守しようと土下座する。 「見逃して下さいお願いします友達の物なんですどうかお許しください」 続々と登校する生徒達がクスコスと笑いながら校舎に入っていく。 「そんなの許すはずがないだろうが‼」 会長はプロゴルファー石川リョウの如くバンビィブレイドを勢い良くスイングした。 生徒は瞬く間に校外に吹き飛ばされた。 「ナイショ!!」 会長は自ら己を褒め称えた。 「そんなにエボンゲリオンが見たかったらな、自分の金で買えや」 会長は捨てぜりふを吐くと、また淡々と自分の職務に戻った。
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