一章:王女の依頼

10/35
前へ
/37ページ
次へ
「で、王女は何て言ったんじゃ?」  ディアナはつまらなそうにそう聞いてきた。多分、ロゼがどんな依頼をしてきたかほぼ予想しているんだろう。 「今回の魔獣討伐に参加するのが依頼だ。まぁ大方予想通りだったな」 「最近あの小娘はこの手の依頼ばかりワシらに頼んでくるのう」 「小娘って……」  お前みたいなちっちゃいお子様が人を小娘って言うなよ。 「そう文句たれるな。だいたい俺達の生活資金はその小娘から稼いでいるんだ。しかも魔獣が相手なんて、この前の迷子を探すより楽勝だろ?」 「まぁの。魔獣の方はわかりやすくていいわい」  片手で指をバキバキっと鳴らしながら、ディアナは見た目からは想像出来ないほどの、まるで獲物を目の前にした肉食獣のような目をして笑った。この笑顔は子供どころか大人も逃げ出すな。俺ですら怖いし。 「それにしても!」  ビシッと、ディアナは俺の顔を指差した。
/37ページ

最初のコメントを投稿しよう!

22人が本棚に入れています
本棚に追加