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「よく来てくれました、リデッド・イグナール。あなたに依頼です」
煌びやかな装飾で彩られた王室。その奥に気品溢れるドレスを着た少女が、真剣味を帯びた表情でそう言った。
ふんわりした柔らかい感じの印象を受けるこの少女は、大国レイクズの王女である――ロゼ・シャルクライムだ。
眩いほどの金髪は床の絨毯につくほど長く、ひざ元まである真っ白のドレスと相まってよく似合っている。
いかにも、王族のお嬢様と言った風貌をロゼは醸し出している。
「で、今度はどんな依頼で俺を呼びつけたんだ?」
ロゼと向かい合うように、壁に背をもたれ掛けて、俺は急かすように言った。
庶民暮らしの俺にはこの部屋から漂う、堅苦しい貴族の空気が肌に合わない。息苦しく、居心地が悪い。終始ここから出たい衝動に駆られている。
ロゼは俺の気持ちをくんでくれたのか直ぐに口を開いた。
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