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「――また魔獣が現れました」
ロゼは神妙な面持ちでそう言った。
「知ってるよ」
一瞬、ロゼは驚いた顔をした。しかし、俺は構わず話を続ける。
「中央大陸の辺りから小さな魔力がかなりの数で感じる。また異世界の扉から出て来たんだろうな」
魔獣――大昔からこの世界とは違う異世界から来ていると言われる、この世界の敵だ。
昔の文献によると、『異世界の扉』と呼ばれる大地にあいた大きな底の見えない穴から現れたと言われている。
その異世界の扉は現在でも存在していて、今だに魔獣と人間との戦いは続いていた。
「と、なると今回の依頼も魔獣の討伐だな? ロゼ王女」
「はい。今、魔獣討伐で集められている聖騎士達に力を貸して欲しいのです」
「聖騎士達ねぇ……」
そう言って、俺は窓際まで歩き、窓から下を覗く。
下を見ると城の庭園に人が何百人と豆粒のように集まって見えた。
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