一章:王女の依頼

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 そう言って、また歩き出そうとした俺に「はぁ……」と嫌みたらしく聞こえるように使用人はため息をついた。 「リデッド様。お言葉ですが、貴方みたいに目つきが悪く、汚らしい服を着たいかにも盗賊のような人がこのレイクズ城に入るどころか、この国の象徴でもある王室の方に会う事は本来なら死罪に値する事です」 「まぁそうなんだろうな。それで?」 「――これ以上、ロゼ王女様に近づくのはやめて頂きたいのです」  冷めた、その使用人の言葉にとてつもない怒りを俺は感じた気がした。しかし、俺も黙る気はない。 「それは難しいな。だいたい俺はここの王女様に呼ばれてこの城を訪れている。そして俺も生きてく上で王女様の依頼の報酬を頼りにしている。王女様だけあって報酬の支払いも気前がいい、最高の金づるだからな」  俺の言葉に使用人は眉間にシワを寄せた。 「やはりリデッド様は低俗な下賎な者なんですね。ロゼ王女様にもしもの事があれば、あなたはこの国の敵だと言う事をお忘れにならないで下さい」
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