一章:王女の依頼

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「遅いぞ! リデッドよ!」 「はぁ? そんなに経ってないだろ?」 「オヌシが早く帰って来ないからいい見世物じゃったんだぞ!」  と言ってディアナは、漆黒の剣を思いっ切り投げつけてきた。  バッシィ! と剣を受け止めた手から乾いた音が広場に響いた。 「痛ってぇな! 馬鹿力で投げやがって」 「それがワシの怒りじゃ」  ジンジンと手が痛む。ディアナは赤い目でこちらを睨みつけ、ふいっとそっぽを向いた。  ディアナ。俺の切っても切れない相棒だ。見た目は12、3くらいの少女だが、その端正な顔と堂々とした立ち振る舞いのせいで幼く見えない。ロゼのようにどこかの王女様だと言っても疑いようがないくらい綺麗だ。  ただ中身は子供ように我が儘で基本人の話は聞かない困ったやつだ。ここにくる道中に何回その辺に置いてってやろうと思ったか。  そう俺が考えに耽っていると、ディアナは立ち上がりこっちを見て口を開いた。
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