ありふれた日常

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男の自宅から勤務先の自身がオーナーシェフを務める店までは拘りの車でかなりとばして約15分 店は市街地からは離れた場所で周囲は不景気など関係無しに広い庭やプールなどがある高級住宅が立ち並ぶ環境にある 近くには緑豊で小さいながらに池があり、休みの日にはピクニックやボート乗りに来る家族や恋人達が訪れる癒しの空間的な公園がある そんな場所にポツリと建つ男の店     Restaurant&Bar      「Clear」 があるのだった 独創的かつ栄養的にも深く考慮され 見た目や味だけではなく体に良い料理を出す店として頻繁に雑誌やテレビの取材も訪れる有名店で 俗に言うセレブ御用達の店である しかしメディアの関心事はそんな料理よりも、むしろオーナーシェフの容姿や話しに視聴率や販売部数が上がる事を目的としていて 男は店の料理の批評が少ないと気乗りしないながらも店のスタッフ一同に 女『店の為にオーナーは我慢して下さい!』 男『シェフ!店の為!店の為ですよ!』 等と我慢を強要され渋々と取材を受けるのであった そんな店の従業員入口のカギを開けて入り、店内の明かりを付け、ガスの安全装置を解除し全ての機材のスイッチを入れて回る つまり男はオーナーシェフでありながらも店には一番に来ているのだ それも男の拘りで メニュー開発、材料発注、仕込み、納品チェック、料理作りに、手が空いた時には自ら料理も運び、飲み物の提供もし、尚且つお客様との会話もこなしているのだった 簡単に言えば何から何まで自分でしなければ気がすまない性格なのである それから 休憩やミーティングに使う部屋の隅にあるパソコンを立ち上げ 更衣室へ行きシェフの戦闘服(コック服)に着替える この時に男は自身の中で仕事に対してのスイッチを入れダルさや酒を吹き飛ばす 男『さてと、今日はどんな旨そうなもんがあるかな?』 等と独り言を吐きつつ明日以降のメニューをネットで旬な野菜や魚を検索しなから考えるのが朝一番の男の仕事である そんな時 従業員入口から茶色の丸刈り頭の少年が元気良く現れ 少年『おはようございますシェフ!』 朝の挨拶が聞こえて来た いきなりでちょっとビックリした男は 男『ヨォッ!…おはようさん!今日もお前は朝からテンション高いな~…何食ったら朝からそんなになるんだ?…だいたいにして元気良くを通り越して五月蝿いっての!』
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