mission 1 合コンにて――

6/6
前へ
/68ページ
次へ
「あの―――。  何か私の顔にツイてますか?」  あまりの鬱陶しさに、イラつきながらも、お嬢様口調を絶やさずに、瓶底眼鏡に問い掛けた。 「パイロットということは、葵さんはもしや決戦飛空機の……」 「そうですけど?」  私がそう答えるや否や、男性は周囲が振り向くほどの喚起の声をあげる。 「あ、あの――。  周りの方達にご迷惑ですので……」  ウエイターが慌てて注意を促しにやってきた。  瓶底眼鏡の男性は、席を立ちウエイターや、周囲の人達に平謝りする。  椅子に座っている時は気付かなかったが、背が私より20㎝は低く、チンチクリン……。  如何にも、人数合わせについて来たとしか思えない人物――。  必ず居るよね、こんな人。 「スミマセンでした……。  まさか飛空機パイロットと話せるとは思ってもみなかったもので――」 「いえ、気になさらないでください」  私はさっきの騒動に眉をヒクつかせながらも、柔らかな笑みを崩さないように答える。  男性の名前は、 左近=水無月 (さこん=みなづき)  特殊兵器開発部の博士で、こんなチンチクリンなのに、私と同じ二十歳だった――。  そこから先の展開は、想い出したくもない。 左近は新型兵器や、決戦飛空機の可能性を延々と私に講釈し、周りのメンバーは、厄介払いが出来たと、私達を蚊帳の外に盛り上がっていた。 「結構盛り上がってたんじゃない?」  宿舎に帰る道中マリーナにそう言われた私は、 「あんなチンチクリン――。  絶対あり得ない!!」  私の剣幕にビックリしたマリーナをサッサと置き去りにし、宿舎の部屋へと帰ってふて寝した。  もぉ最悪な一日だった。
/68ページ

最初のコメントを投稿しよう!

18人が本棚に入れています
本棚に追加