417人が本棚に入れています
本棚に追加
/210ページ
さあ、どうすんだ? 娘と集落、どっちを選ぶ?アムさん。
「……私は…………」
アムさんは眉間にシワを寄せて難しい顔をしていた。娘も集落もアムさんにとっては大事なのだろう。俺がアムさんの表情を楽しんでいるとアルが声を出す。
「……奴隷……なる!」
「アル!!」
アムさんは大きな声を出す。その表情からは驚きの色を隠しきれていない。
「俺はアルに訊いていない。あくまでアムさんに訊いているんだ。取引道具は黙ってろ!」
俺はアルに怒鳴る。自分から身を売ることが俺を苛立たせたのかもしれない。
アル……お前にも教えてやるよ。売られる側の気持ちをな。
「レン君、決心したよ」
さあ、言えよアムさん。アルを売るってな。
最初のコメントを投稿しよう!