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俺と藤川は兵庫県のとある田舎町に住んでいて、大阪難波まで電車で約1時間程かかる。俺達は今大阪行きの電車に乗っている。
「お前緊張し過ぎやで」
俺は隣に座る藤川を見ながら、言った。
「落ち着けよ」
藤川は腕を組んだり下げたり髪を触ったり、ソワソワしている。
「そっそんな事言うても、きょっ、今日は人生でいちっ、一番大事な日でっ、そっ、そやからしゃっ、しゃーないやんけ!」
藤川は物事を必要以上に、大袈裟に考える所があった。
「おっ、お前はどうやねん!」
藤川が潤んだ目で言ってくる。
「きんっ、緊張せえへんのか?」
「あほ。俺は緊張なんかせえへんよ。見てみい。この落ち着きっぷりを」
俺はそう言った直後に体全体をブルブルふるわせる。
「体震えてるやん!」
藤川の大声でのツッコミ。電車やぞ。
「緊張しまくりですやん!」
「これ緊張してんちゃうで」
と、俺は無表情を心がけて、言う。
「マナーモード。ずっと隠してたけど俺人間とちゃうねん。正体ケータイ電話やねん」
「えーー! お前の正体ケータイ電話やったんや」藤川が俺のボケに乗った。
「今電車やから音鳴らんようにマナーモードなってんねんな、ってなんでやねん!」
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