第一章~越本芸能学院(KGS)

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 俺と藤川は兵庫県のとある田舎町に住んでいて、大阪難波まで電車で約1時間程かかる。俺達は今大阪行きの電車に乗っている。 「お前緊張し過ぎやで」 俺は隣に座る藤川を見ながら、言った。 「落ち着けよ」  藤川は腕を組んだり下げたり髪を触ったり、ソワソワしている。 「そっそんな事言うても、きょっ、今日は人生でいちっ、一番大事な日でっ、そっ、そやからしゃっ、しゃーないやんけ!」 藤川は物事を必要以上に、大袈裟に考える所があった。 「おっ、お前はどうやねん!」 藤川が潤んだ目で言ってくる。 「きんっ、緊張せえへんのか?」 「あほ。俺は緊張なんかせえへんよ。見てみい。この落ち着きっぷりを」 俺はそう言った直後に体全体をブルブルふるわせる。 「体震えてるやん!」 藤川の大声でのツッコミ。電車やぞ。 「緊張しまくりですやん!」 「これ緊張してんちゃうで」 と、俺は無表情を心がけて、言う。 「マナーモード。ずっと隠してたけど俺人間とちゃうねん。正体ケータイ電話やねん」 「えーー! お前の正体ケータイ電話やったんや」藤川が俺のボケに乗った。 「今電車やから音鳴らんようにマナーモードなってんねんな、ってなんでやねん!」
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