1匹目

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手を握ったこともキスをしたこともない。セックスなんてもっとない。 そんな奴が家に誘うなんて それしか考えられない。 ヘタレで何もしやしないくせに。 首に置かれた手がひくつき、鎖骨まで下がる。 鎖骨を撫で、首を通りまた頬に戻ってくる。 「あきはさ、何でそんな風に言うの?ヤリたいなんて…俺、言ってないだろ」 「じゃあ何?カードゲームでもする気?」 「あき…」 悲しそうに呟いて、手を下ろす。 少し責めすぎたかもしれない。 「…ねぇ、手握っていい?」 「好きにすれば?」 戸惑ったように俺を見遣った後、だらっと垂れた俺の手を掬った。 「あきの手はちっちゃいね」 強く握ったり、柔く握ったり。 俺の手を興味深げに眺め、撫でそっと指を絡める。 始終俺はそっぽを向いてされるがままになっていた。 .
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