1匹目

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―――――――――― 「ここだよ」 あれやこれや町を引きずり回されて、大量の買物袋と着いたのはちょっと高めな高層マンション。 「ここの一番上。あき、荷物重くない?」 「重い」 両手に抱えたビニール袋は丸々と太っていて手はじんじんと痺れていた。 だけどそれは、あいつも同じ。 俺よりも重そうなでかい袋を俺より持ってるのに、人の心配してる場合か。 「大丈夫?持とうか?」 「いい。そんなに沢山持てないだろ」 「ゔ…そうだけど」 エレベーターに乗り込むと迷いもなく、最上階を押す。 こいつ普段何をしているのだろう。 こんな高そうなマンションに住めるほどの金持ちだったのか? 細部まで工夫の凝ったエレベーターを隅々まで眺めていると、軽快なあの音が聞こえた。 「ここだよ。ちょっと狭いと思うけど」 何て遠慮がちに開けられた扉の奥は広いのなんの。 嫌味にしか聞こえない奴の言葉もすっからかんになってしまった。 「あーもう無理!!!限界!!!」 .
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