1匹目

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叫び声と同時に荷物が奪われ、ひょいっと担ぎ上げられる。 「な…!!下ろせよ!!」 「俺ね、あき。ずっと我慢してたんだ。あきのこと大切にしてあげたかったし、俺のこと嫌いになって欲しくなかったし。」 「ん?……あっ…」 あの時…の。 『お前に怖い思いさせたくないんだ!!!』 言葉。 必死こいて言うもんだからびっくりしちゃって忘れてた。 「あき…俺のこと好き?」 「…わかんない」 キュウって抱きしめられてこそばゆさに身をよじれば、擦り寄るように首に顔を押し当ててくる。 「あき…愛してるよ…だから 嫌いにならないで…」 泣き出しそうな声で呟かれた言葉に、違和感を感じた。 いつものお気楽な声と違う。 「サイ…?どうしたんだよ」 「ごめんね、あき」 ぷつり。 首に何かの刺さる音がした。 ~fin.
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