相合い傘なんて

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「なぁ、中丸傘持ってねーの?」 梅雨の季節のはずなのに今日の朝は雲ひとつない快晴で、 天気予報を見ても降水確率は0%だった。 だから今日はいつも持ってきていた折りたたみ傘は持って来ていなかったのに… 夕方になって突然降り出した雨。 小雨なら走って帰れるけど、 地面のコンクリートが痛そうなくらいに激しく打っている雨。 学校から駅まで近いとは言えど、走って帰るのは無理そうだな、、 「持ってないよ、上田は?」 「傘持ってんのかって聞いてんだから持ってるわけないじゃん。」 「あ、そっか。」 「あー残念。 中丸が傘持ってたら相合い傘でもしてやったのになー。」 「おい、なんで上から目線なんだよ(笑)」 上田は一見不思議な雰囲気だけど仲良くなったらそんなこと全然なくて、普通にふざけあえるやつだと知った。 「しょーがねぇな。上田、走って帰るぞ。」 「えっ、まじ?やだっ濡れる。」 「お前女みたいなこと言うんじゃねーよ。」 「…風邪引いたら中丸のせいな。」 しぶしぶ上田が口をとがらせながら言う。 ―こーいうとこかわいいかも。 .
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