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誕生日メールでも送ろうかと思ったけど、
12時ぴったりを過ぎるとあいつのケータイは鳴り止むことを知らないくらいずっと鳴り響いているだろう。
“そんな大量のメールの中のただの一通になんかなりたくない"と、
思ってしまい、つくづく自分は頑固者だと思い知る。
23時50分
あいつの誕生日まで10分
今年は何もお祝いをせず、
連絡をとることもなく、
普通の何の変哲もない日になるのだろうと思いながら、
駅のホームに降り立つ。
23時52分
あいつの誕生日まで8分
そこら辺のタクシーを捕まえて帰ろうかと思いながら、
改札を抜けて外へ出ると目の前には見馴れた車。
2ヶ月前まで仕事の送り迎えや、
デートの時は必ず俺が
助手席に座っていた車。
仁の車…
びっくりして立ちすくしていたら、
開かれた運転席の窓。
「乗んないの?かず、」
開いた口が塞がらないとは
多分このことを言うんだと思う。
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