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「な、んで」
「かず迎えに来たからに決まってんじゃん」
サングラスしてるし、暗いからよく顔は見えないから分かんないけど、仁は笑ってた。
「とりあえず早く乗って乗って」
「あ、う、うん」
23時56分
仁の誕生日まで4分
「♪~♪~」
呑気に鼻歌を歌ってる仁はとてもご機嫌そう。
それに比べて俺は、
もうびっくりを通り越して
“なんでいるの"とか、
“なんで連絡くれないんだよ"とか、仁への不満が少し出始めて、
顔には出してないけどかなりの不機嫌。
「かずー」
「なに、じん」
「怒ってるっしょ」
「え、なんで」
「なんとなく」
何となくって。
「なんでいるの?
CLUBでてっきりパーティーかと思ってたのに。」
少し捻くれたその言葉
「いや、毎年誕生日はいっしょだろ」
そんな言葉にも仁は呑気に答えて。
「じゃあな『なんで連絡しなかったのか、でしょ』
分かってんなら連絡くれよ。
「日本でもツアーの準備でスタジオにこもりっきりだったんだよ」
「夜にくれたらいいじゃん」
俺は寂しかったんだから。
「かずもあとちょっとでツアーだろ?」
忙しかったら悪いと思ってさ、と言う仁の優しさも久しぶりの感覚でくすぐったい気持ちになる。
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