第1話 ふたり

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レンは医者をしている。本人は見習いのつもりなのだが、師匠を含む周りの人間はレンのことを一人前扱いしていた。 「おかえりなさい!」 レンが家に帰るとガバッと少女が抱きつく。肩で揃えられた金の髪。幼さの残る顔はレンとよく似ている。彼女――リンは無邪気に笑った。 「ごはんにする?」 「うん。お腹すいたー。リン、喉かわいたからなんかちょうだい」 白衣を脱ぎながらレンは屈託なく笑う。 幸せを絵にかいたようなあたたかい家庭だった。
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