第1話 ふたり

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レンたちは街はずれに住んでいた。街は人口も多く活気もある。裕福な人間も多い。だが、街はずれにいけば貧しい人の姿が多く見られた。一見豊かに見えるが貧富の差は大きい。 レンの家は小ぢんまりとしていたが、これでもまだ大きな方だ。医者としての腕を考えると街中に住むプライドばかり高い連中よりも確かであり、本人が望みさえすればいくらでもお金もうけができるのだった。 レンは貧しい人のための医者だった。貧しい人はその貧しさ故に病気になっても十分な治療を受けられないことが多い。病気は貧富に関係なく降りかかるもので、残酷な程平等だ。 命の価値は平等だ。貧富は関係ない。 だから。 少しでも貧しい人が治療を受けられるようにと医者になったのだ。 養い親でもあるカイトも同じ考えを持っており、その考えに共感したのがきっかけだった。 もっともカイトは貧しい人からは全くお金を取らなかったが、裕福な人からは多くのお金を得ていた。 レンはどちらからもお金を取らなかったが、どうしてもと渡されたときだけは受け取っていた。
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