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 「あぁ~もう! 俺に何をしろと?」  時雨はやけくそに言った。 『お前に与えられた権利は選択だ』  声が答えた。 「選択?」 『契約をするか、又はしないか……生きるか死ぬかと言っても良いな』  時雨は闇を見つめる。 ――契約?……何があるんだ?  時雨は心の中で問いかける。 ――うん、嫌な予感がひしひしとするな……  時雨は契約という言葉に凄く引いている。 『するか、しないか……それだけだ。あまり、時間は無いぞ!』  闇の中の声は繰り返す。 ――どうせ、死ぬくらいなら……  時雨は闇をキッと睨み返した。 「俺は契約する!!」  時雨は闇に叫んだ。 『フフフ……その選択、しかと聞いたぞ』  光が波打つ様に揺れ始めた。  光の波は段々と高くなり時雨を飲み込む。  光なので触れている感触は無い。  但し、そこには光という粒子状の物が確かにある。  光が時雨を飲み込んだ瞬間、光は一際強く輝いた。  それは、ようやく光に慣れた目を力づくで刺激した。  約一秒ほど光ると一瞬にして弾ける様に光は消えた。  右上の一点から光が射す。  まるで、スポットライトの様に 時雨を照らし、円形の印を床に作る。  気がつけば時雨は床に立っていた。  なんとなく足の感触を確める。  軽いプラスチックの様な床だ。 ……サァァァァァ……  何処からか何枚ものカードが時雨の周りを周り始めた。  先程散った光の粒が雪の様に時雨に降り注ぐ。  カードは光の雪の中を、4列で時雨を中心として回る。  円の半径は二メートル程だ。  スポットライトの範囲ギリギリを回っている。  カードはそこまで大きくは無い。  それらは少しずつスピードを上げていく。 『さあ、力を選べ!!』  闇の声がひときわ強く響いた。 ――カードを選べって事か?  時雨はカードをよく観察した。  どれも全て六傍星が描かれた同じ模様のカード。  光の当たり方によって色を変えている。  近くでみようと動くと同じ様にカードも動く。 ――完全に勘か……  時雨は目を閉じた。  特に、この行動に意味は無い。  ただ、せっかく選ぶのだから格好良く選びたかっただけだ。 ――三……二……一……  時雨は零のタイミングで目を開けた。  それと同時に目の前のカードを指し示した。  カードの回転がピタリと止まっる。  光がゆっくりと降り注ぐ。  なんとも、焦れったい時間が過ぎた。
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