1人が本棚に入れています
本棚に追加
/70ページ
そう言って奏は、赤くなった顔を伏せて何やら小声で呟き始めた。
「はぁ、今度からはよく周りを確認するんだな。っと、そんなことより……」
陣が護に視線を向ける。
「ほら、行くんだろ?学校。」
にっと笑って親指で外を指差す陣。
護はもう、観念するしかなかった。
二人共一緒に行ってくれると言っている。
ここで引いたら二人に悪い。
「分かった。準備するから外で待っててくれ。」
そう思った護は、二人に外で待つよう言い学校へ行く準備を始めた。
……………。
「ま、待たせてごめん。」
「遅い!もう八時半だよ!?完全に遅刻じゃん!」
「まぁ、そう言うなって。」
ちょっとくらい遅刻したって問題ないだろ。と陣が笑う。
懐かしい光景。
昔はこうして三人
いや、今日はいないが五人でよく登下校したものだ。
隣で話しながら歩く二人を見ながら過去を重ねる。
奏が笑顔で護に視線を向け
「こうして護と一緒に学校行くの久々だね。」
と、語りかけてくる。
どうやら、過去を重ねていたは、自分だけじゃなかったようだ。
「小学校の頃なんか護がずっと先頭歩いて、俺らがその後をついて回ってさ。」
あの頃は意味も無く楽しかったよな。
そう言った陣と奏の顔は本当に楽しそうに見えた。
最初のコメントを投稿しよう!