01:始まりを告げる流星

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もっと言ってしまえば護は逃げようと思えばいつでも逃げられたのだ。 何故なら、相手も逃げようとしていることを護は知っていたのだから。 それを踏まえての彼女の2択なのだ。 「でも、私は前者の可能性はすぐに否定したのですよぉ。」 「何で?」 「こんな薄暗い森に居座る理由なんて限られるのです。」 「まぁ、確かにな。」 そう言って辺りを見るが物凄く薄気味悪い。 目の前の女の子がいなければ間違いなく死に物狂いでこの森から出ようとしただろう。 「最初にあなたを見つけた時あなたは何かを探しているようでした。でもぉ、私に気付いて探すのを止めたのですよぉ。」 続ける。 「もしかしたら、他人に気付かれるとマズイ物なのかもしれません。しかし……それなら日を改めればいいのです。何もせずそこに居座る理由はありません。仮に、すぐにでも必要なものならあなたの行動は尚更不自然なのですよぉ。」 そうなると、待ち人の可能性も薄くなるのです。 と、彼女は付け加えた。 あぁ、なるほど。 探し物の可能性も待ち人の可能性も要するに考えかたとしては同じなのだ。
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