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「あ、でもぉ、さしあたって護にお願いがあるのですよぉ。」
何だろう?
まさか………色々無茶なお願いとかされるのか?
「この花を私と一緒に沢山摘んで欲しいのです。」
そう言って差し出された赤いタンポポの様な花。
「これってあの時の………」
その花には見覚えがあった
護がこの森で目覚めた時目の前にあったあの花だ。
「これはぁ、アケナの花て言って煎じて薬にするのですよぉ。」
成る程。
サーシャはこれの為にここに来たのか。
あれ?待てよ。
「サーシャ、もしかして急いでたんじゃない?」
「ん~?あ!そうなのですよぉ。急いでこれを持って帰らないと。」
サーシャは花を見つけては摘んで、見つけては摘んで大慌てである。
余程大切な花なのだろう。
サーシャの必死さを見ればわかる。
それ以前に、単身こんな危険な森にやって来るぐらいなのだ必要でなければ来やしない。
こんな"周囲から敵意の視線"を感じる危険な森なんかに。
「俺って敏感すぎるんじゃ………」
ため息が出た。
理由は知らないが襲っては来ないだろう。
ただ、こちらを睨んでいるだけそんな感じだ。
でも、何があるか分からない。
サーシャに気付かれてないようで良かったと思いながら恐怖で震える体をどうにか動かす。
「急いで、花を摘んでこの森から出よう。」
護はできるだけ速く、そして沢山花を摘んで森をでることにした。
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