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サーシャは先行して門の正面に広がる通を歩き始める。
護は辺りの建造物を見ながらサーシャの後を追った。
夕暮れということもあってか人通りは少なく閑散として二人の足音が静かに響く。
真っ直ぐ通りを歩いて来ると噴水のある広場に出た。
「ここは、この都市の中心にある広場なのですよぉ。」
都市の東西南北を繋ぐ交通の要所だとサーシャは説明してくれた。
「そして、東が旧市街区で西が新市街区。さっき歩いてきたのが南の商業区で北にあるのが王宮になるのですよぉ。」
「遠くから見た時に薄々気付いていたけど、やっぱりあの一際大きな建物は城なんだな。」
どうしたらあんな建物が造れるのか………。
「これから私達が行く所は旧市街区にある小さな診療所なのです。」
サーシャは道中旧市街区について説明してくれた。
訳あって新市街区に移れない者や身寄りがなく行き場のない子供達。
そう言った人達が助け合って暮らしているのが旧市街区という場所らしい。
これから行く診療所はこの旧市街区の病で苦しむ人達を助ける他、身寄りのない子供達も預かっているそうでサーシャは時間を見つけては診療所の仕事を手伝っているらしい。
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