02:都市の陰り

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ひらひらと揺れながらテーブルにたどり着いたその紙片には等間隔で何か書かれていた。 「それがこの世界の文字だ。読んでみろ。」 そう言われ紙片を見つめる護。 けれど、どんなに見つめても読めるわけはなく。 「読めない。」 すぐに諦めた。 「そうだろうな。まぁ、これで会話と文字については分かっただろう。次の―――」 「ちょっと待ってくれ。意志疎通云々は分かった。でも俺はサーシャに伝わらなかった言葉がある。」 探偵と外国人だ。 森で護がサーシャに言ったこの言葉だけは確実にサーシャに伝わっていなかった。 「それは本当に相手に言葉が伝わってなかったのか?相手が言葉の意味を理解していなかっただけじゃないのか?」 護は森でのサーシャとの会話を思い出す。 たんてい?って言う物は知りませんが サーシャは確かそんな風に言っていた。 「探偵と言う物は知らないってサーシャは言っていた。後、外国人も。」 それを聞いた男は、成程なと納得した。 「この世界に探偵も外国人も言葉自体が存在しない。故に伝わらなかったのだ」
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