02:都市の陰り

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「実際見てもらった方が早いだろう。」 男は黒い布から左手を前に出した。 テーブルから男までそこまで距離はないが薄暗いせいで男の左手はよく見えず、たまに揺れる燭台の火がかろうじて左手の存在を照らし出す。 「よく見ていろ。」 男が言った瞬間左手が激しく燃え上がり、少しずつ収束。 最終的に野球ボール程の火の球になった。 「て、手品とかじゃないよな?」 男の左手にある火の球は小さくなっても変わらず激しく燃えている。 「ある意味手品だな種も仕掛けもある。」 男は何故か楽しそうだった。 「お前は星の加護については知っていたな。」 「えーと。この星から漏れ出した力だとかで、その力の塊が星霊なんだっけ。」 「そうだ。そして、この星の加護にも種類があり。主に四種に分けられる。」 それは護にも少し馴染みがあった。 よくRPGなどで使われている4属性の設定と同じだった。 火、水、風、土。 今、左手で燃えている火の球はこの中の火に当たるそうだ。 「これらの加護は空気中を漂い万物に宿る。魔法とは自身に宿る加護を力に変え具象化させた物の総称だ。」 加護を力に変え具象化させた物。 それが魔法の正体だと男は言う。 「それって俺には出来ないのか?」
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