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「今は、そんなこと気にするな。お前は先のことを考えろ。」
今、目の前の男が何て言ったのか護は理解できなかった。
そんなことは気にするな
男はそう言ったのだろうか。
楓の死から目を反らしこの先のこと考えろと。
護の中で何かが弾けた。
「ふざけんじゃねぇ!竜也を庇って死んだ?何でてめえがそんなこと知ってんだ!てめえはその時その場に居てあいつらを見殺しにしたんじゃねぇのか!」
護は八つ当たり紛いな怒声を男に浴びせ、掴みかかった。
「そんな体操な剣を背負っているくせに目の前で死にかけているあいつらを見殺しにしたのか!!」
男を幾度となく壁に叩きつける。
「貴様に何が分かる。」
その男の声が耳に届いた時
護は床に伏せられていた。
何が起きたか分からなかった。
気づいたら男は背中の上にいて、腕をガッチリと左手で押さえつけられていた。
「ざけんな!離せ!こんなこと出来るやつが何であいつらを見殺しにした!!」
男の行動一つ一つが護には苛立たしかった。
最初に剣を突きつけられた時も次に魔法を使った時もそして今も。
この男は護の想像を遥かに越えていた。
目視することが許されない一瞬の動きと常識はずれな魔法。
男はそれを平然とやってのける。
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