02:都市の陰り

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だから許せなかった。 この男が。 「楓が死んだのは竜也を魔物から逃がす為だ!」 男が怒鳴る。 「魔物ってなんだよ………俺はそんな話し聞いてねぇ!」 「貴様はこれから強くならなければならない。自分の大切なものを守るために。」 だからこそ、楓の死を伝えてからこの話しをするつもりだった。 と、男は言いながら拘束を解いた。 「ちっ、話してくれ。魔物ってなんだ?」 護は立ち上がり男を睨んだまま問う。 「魔物は内に宿す星の加護が暴走した万物の成の果て。人知を越えた化物だ。」 「化物か………。加護の暴走ってのはなんだ。」 「暴走と言ってもいろいろだが主に負の感情により自身の制御が不可能になり。器が壊れることを指す。」 「器が壊れる?」 「器は枷と言い換えてもいい。枷が壊れ過剰な加護を取り込むことで自我を失い、肉体を失い、異形化する。」 負の感情によって異形化する。 でも、現状護は目の前の男に怒り、憎しみ、殺意などの負の感情を抱いているが身体に変化はない。 単に負の感情と言ってももっと暗く根深いものを指すのだろうか。 「強くならなければいけないってことは俺はその化物と戦わなければいけねぇのか?」
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