02:都市の陰り

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そうだ。と男はたった一言だけそう言った。 「俺は、あんたと違って戦う術を知らない。守るために最善は尽くすけどはっきり言って無理だと言わざる負えない。」 「楓の敵だとしてもか?」 「勘違いすんじゃねぇ。楓での敵はてめえだ!まだ俺はあんたを信じちゃいねぇ。」 護は明確な敵意を男に向けた。 「それでいい。」 男は護に剣を突きつけた最初に出会った時と同じように。 「どんなことをしても強くなれ。それが楓を救うための唯一の手段であり俺の存在理由だ。」 ふっと燭台の火が消え、部屋が闇に包まれた。 「なっ!?楓を救うってどういうことだ!」 目の前で剣を突きつけていた男に訊こうとしたがそこにはもう誰もいなかった。 護は月明かりを頼りに燭台に灯をともした。 楓を救うことが存在理由とは一体何なのだろうか。 さっきまでの男の話しを整理しながら護はこれからのことを考える。 まずは、ギルドへと赴いてみよう。 そう決めて護はベッドに身体を預け、意識を手放した。
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