02:都市の陰り

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翌朝、護はテーブルの上に感謝とこれからのことを簡単に綴った置き手紙を残し早々に城を出た。 サーシャにこれ以上迷惑かける訳にはいかない。 その一心で挨拶もなしに飛び出して来た護だったのだが 今になって挨拶を済ませて出てくるべきだったかと若干後悔していた。 現在、護はギルドと呼ばれている建物の前に立ってる。 この街についてよく知らない護は広場に設置されていた案内板を頼りにギルドの建物を探し当てた。 もちろん、文字など読めなかったが護はこの建物の所だけ2本の剣が交差しているマークがついていることに気付きこの建物がそうではないのかと予測した。 そんなことするよりも人に訊ねた方が何倍も効率が良かったのだが、この街は何故か人通りが少ない。 いや、人通りがないと言った方が正しいのか。 城の時もそうだったが護はこの建物に来る間誰一人としてすれ違わなかったのだ。 しかし、そんなことを気にしている場合ではなく。 護は目的地を目の前にしてかつてない程に緊張していた。 「ここは、間違いなくギルドで合ってるよな?」 声に出した所で返事はなく。 音は虚しく消えるだけ。
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