02:都市の陰り

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「君、撫でるの上手いね♪……それで君は今日は何の用件でここに来たの?」 撫でられるのが気持ちいいのかアーニャはうっとりとした表情をしていた。 「あ、すみません。夢中になって用件も言わずに。」 ふと我に返った護はここに来た用件を伝えるべくアーニャの頭から手を放すが 「そのままでいいよ。撫でながらでも話しはできるでしょ。」 アーニャのその一言で再び魅惑のそれに護は手を伸ばした。 「今日は俺をギルドに入れてくれないかお願いしに来たんです」 「君、ギルドに興味があるの?」 「いえ、そういうわけではなくて。人をさがしているんです。」 それを訊いたアーニャの顔つきが変わる。 「それなら、私達に依頼を出しなさい。あなたがわざわざ危険を冒す必要はないわ。」 アーニャは頭を起こし護に向き直る。 その顔は真剣そのものだった。 「あなたの手、とても気持ち良かったよ。優しくて暖かくて、まだ戦い方を知らない手………。」 アーニャは何処か遠くをみて語る。
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