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「この病気ってもしかして命に関わるんじゃ………。」
護は昨日の夜。
魔法について聞いた時のことを思い出す。
「だからこうして私もあっちこっち駆け回っているわけだ。と、すまない。まだ回らなければいけない場所が多く残っていてな。これで失礼するよ。」
急ぎ、駆けていくコルネの背中を見送る。
「はぁ。星退病か………。」
命に関わる病気の蔓延。
昨日、サーシャはそんなこと一言も話してはくれなかったしそんな素振りもなかっ―――
そこで護の脳裏に昨日の診療所の帰り道。
広場での彼女の言葉が浮かび上がる。
―護は何にも訊かないのですね―
確かにそう言ったサーシャ。
護はタイミングが分からなかったと言ってあえてサーシャに何も訊かなかったが。
本当にタイミングが分からなかったのはサーシャの方なのではないのだろうか。
護は城へと走りだしていた。
話さなかったのではなく。話せなかった彼女。
広場を駆け抜け、城内へと駆け込む。目指したのは昨日泊まった一室。
サーシャは話すきっかけが欲しかったのではないだろうか。
「サーシャ!!」
「んへ?あ、お帰りなのです護。」
テーブルで寝ていたのか少し寝惚けた様子のサーシャだったがすぐにいつもの笑顔で護を迎える。
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