02:都市の陰り

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「そうか。君の友達もこの世界に………。しかし、ギルドに依頼を出したのなら大丈夫だろう。近いうちにその友達の手掛かりを探してくれる。」 「いえ、依頼しに行ったのではなくギルドに加入してきました。みんなは自分の力で探します。」 その言葉にウィゼルだけが驚き、サーシャは今まで閉ざしていたその口を開いた。 「護、それは無茶なのですよ。護が思っているほど簡単なことじゃないのです。それに―――」 サーシャが言うより早く護は言葉を繋いだ。 「この世界には魔物って呼ばれてる化物がいるんだろ?」 サーシャは俯く。 「そうなのです。だから護みたいな人がこの世界で人探しするのは無茶なのです。」 「分かってる。だから俺は強くなるよ。自分で魔物を倒せるくらいにさ。」 サーシャは顔を上げ出会った時のように護の目を見つめた。 ふぅ、とウィゼルは息を吐いてから護に言い聞かせる。 「命を賭することは勇気ではない。ならば命を繋ぎ機を窺うことこそが真の勇気ではないだろか。しかし、己の大義を自身で果たそうとすることは何よりも尊い。護君。これから先、勇気と無謀を履き違えないでくれたまえ。」 ウィゼルの言葉をしっかりと胸に刻み。 「はい。」 と、護は頷いた。 「よろしい。なら、この件について私から言うことはない。して、サーシャ少し席を外してくれ。」
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